徴税時期 住民税、所得税と統一   

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政府税調提言へ「所得の翌年」変更


政府税制調査会(首相の諮問機関)は自治体が集める個人住民税の納税方法の抜本見直しを提言する。前の年の所得に課税する仕組みから、所得税と同様に所得が生じた年に課税する方式へ移行する。収入が急減した場合にも前の年の高い税負担を引きずる現行制度のゆがみを是正する。6月中に公表する所得課税改革の報告書に盛り込む。

現在、国税の所得税と地方税の住民税の納税方法は大きく異なる。会社員の場合、所得税は毎月の給与や賞与から源泉徴収され、必要ならば翌年の2月から3月にかけて確定申告して納税する。住民税はこの確定申告した所得をもとに6月から年12回に分割して毎月の給与から天引きされ、所得税と住民税の納税時期にずれが生じている。

所得税と基準を統一すれば、住民税も収入が発生した年に、所得税とともに税金が天引きされる。課税所得が生じた年と納税時期の食い違いを防ぐことができる。終身雇用を前提とした就労形態が変わり、離退職を繰り返すケースが急増。給与収入がなくなった段階で税負担を求められることがなくなる、と政府税調は見ている。

新制度への切り替えの際、前年所得への課税とその年への課税の2年分のまとめ取りはせず、税負担が集中するのは避ける方針。前年とその年の税額の大きいほうを徴収する案が浮上している。ただ、支払い対象としなかった年の税金もいずれかの時点で徴収する必要があり、具体策を検討する。

現状では退職後に無収入になった場合も、前の年の収入への住民税の支払い義務があり、新制度に切り替えた場合は退職時に繰り延べ未払い分を徴収する可能性がある。退職前の分割納税なども検討対象になりそう。

自営業者らは現状では税額を確定させた後に年4回に分けて納税している。新制度への移行後は所得税と同様、原則として確定申告の時点で納税することになりそうだ。こうした制度調整があり、関係者は導入まで早くても2~3年かかると見ている。

導入に向け、徴税システムや企業の事務処理の仕組みの整備も必要になる。自治体も国税庁と同様に納税者の課税所得をリアルタイムで把握する必要があるとされ、徴税体制の強化が不可欠だ。

政府税調は家族構成や雇用環境が変化している情勢を踏まえ、個人所得課税の抜本的な見直しを進めている。今月下旬に報告書をまとめ、地方の個人住民税改革案も盛り込む予定だ。

地方の個人住民税は国と地方の税財政改革(三位一体改革)に伴う税源移譲で、大きく構造が変わる。総務省は税源移譲が実現すれば、納税者の7~8割は所得税より住民税の納税額のほうが大きくなると見ている。



(2005.06.11 日経)

by nukina1950 | 2005-06-12 15:21 | お金

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