[痴呆」改め「認知症」に   

[痴呆」改め「認知症」に_a0024350_1148127.jpg


痴呆(ちほう)に代わる呼称を検討していた厚生労働省の検討会は19日、一般市民や関係学会の意見をふまえて議論した結果、新呼称を「認知症」とすることで大筋一致した。12月に報告書をまとめる。厚労省は来年の通常国会で、介護保険法など関係法令の「痴呆」の記載を変更すると同時に、一般への普及に努める。

厚労省 来年、法令用語変更へ

「痴呆」についてはホームページなどで一般からの意見を集め、約6300件の応募があった。「痴呆」が一般的な用語や行政用語として使われる場合の印象を尋ねたところ、「不快感や軽べつした感じを伴う」との回答が56.2%で「特に感じない」(36.8%) を上回った。

厚労省が9月に検討会に示した6つの代替候補については「認知障害」が1119件とトップで、913件だった「認知症」は2位だった。以下は「記憶障害」「アルツハイマー」「もの忘れ症」「記憶症」の順だった。一般からの提案には「健忘症」「恍惚(こうこつ)症」「たそがれ症」「どなた症」などがあった。

日本老年精神医学会は「『認知障害』は精神医学領域で多様に使われ、採用すると混乱する」などとして「認知症」を推す意見を寄せた。

こうした声を受け、この日の検討会は「認知症」が最適との意見でほぼ一致。座長の高久史麿・自治医科大学長は「認知症は短くてべっ視的な感じがせず、学会も受け入れやすい」と説明した。日本老年精神医学界も医学用語としての「痴呆」の変更を検討する。

「認知症」を候補に入れた理由として厚労省は「記憶や理解、言語など人間の幅広い知的能力をさす『認知』の障害という痴呆の本質に着目した言葉で、『症』を使うことで病気の一種であることも表現できる」と説明している。

同省の推計によると、何らかの介護や支援が必要な痴呆がある高齢者は2002年時点で149万人。30年には353万人に達し、65歳以上の10%を占めるとみられる。「痴呆」という言葉の軽べつした感じが、必要なケアや予防対策から高齢者を遠ざけているケースがあるとして、厚労省は早期の見直しを目指してきた。

痴呆や病気の呼称では、これまでも「精神薄弱」が「知的障害」に、「精神分裂病」が「統合失調症」に、「成人病」が「生活習慣病」に変更された事例がある。


(2004.11.20 日経)
※人間の尊厳は守らなくてはなりません。これを傷つけるような呼称は変えるべきでしょう。
ハンディキャップを抱えた人にはなおさらです。

by nukina1950 | 2004-11-27 11:54 | 法律

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